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関西経営品質賞について

2024年度 関西経営品質賞 ブロンズ

株式会社 京進 日本語教育事業部

設立 2009年
代表者 日本語教育事業部 部長代行 池田 陽一(いけだ よういち)
本社所在地 京都府京都市下京区烏丸通五条下る大坂町382-1
売上高 2,398百万円(2024年5月)
従業員 525名(非正規社員含む)(2024年7月)
事業内容 日本語学校の運営、日本語教師養成講座の運営、外国人留学生の就労・進学支援、特定技能ビザでの就労支援、外国人留学生の大学受験・大学院受験対策授業・進路指導等
ホームページ https://www.kla.ac/jp
  • ・多エリア多校舎展開で留学生の希望に合った学生生活を提供
  • ・組織文化・風土の醸成を通じた従業員エンゲージメントの向上
  • ・日本語の実践教育と日本文化の学びを通じた人間力向上


株式会社京進は、1975年に京都進学教室として進学塾から始まり、京都を基盤に拡大を続け、個別指導塾、英会話教室、保育園、介護施設など、人の一生に関わる事業を 展開する総合教育企業として成長してきた。

創業時より、教育理念「国際社会で活躍できる人材を育成する」、経営理念「日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献する」を掲げ、1989年には、 ドイツ・デュッセルドルフに日本人対象の学習塾を開校するなど、教育業界では比較的早い時期からグローバルな視点で事業展開を行ってきた。そうした中、日本政府は1983年に 「留学生10万人計画」(2003年に達成)、2008年に「留学生30万人計画」(2019年達成)を実施し、留学生の受入れを拡大していく政策を行っていた。2000年代には、 日本の将来人口は減少していくと予測されており、今後、外国人との共生での国造り、留学生を取り巻く環境の向上が社会課題となるとの考えから、日本社会で幸せに共生してくれる 外国人人材をより多く輩出していき、社会に貢献していく事を目指し、2009年に日本語教育事業部を立ち上げた。

2010年、当時30名程の留学生を抱え赤字続きであった、株式会社オーエルジェイランゲージアカデミーの経営を引き継ぐことで日本語学校の運営を開始し、日本語学校の商習慣を学ぶことになる。

2013年、事業開始3年で3校舎に拡大した頃、今後の展開として「学生1000人を目指す」との目標を掲げ、M&Aを中心に早期に拡大する。現在では、9校(東京4、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫)、定員4000名程度となり、 多エリア・多校舎展開を軸に成長を続けている。

ありたい姿として、『「日本一通いたい、働きたい日本語学校」の実現で日本一多くの外国人人材を輩出する。』を掲げ、2030年に学生数5000名を目指している。

2000年に「経営品質向上活動」に出会い、2001年度の準備期間を経て、2002年度より活動開始。 2013年度 関西経営品質賞 優秀賞(全社)、第1回 京都経営品質賞 優秀賞(英会話事業部)/2017年を受賞。

●学びたい人の希望と自社の拡大戦略を活かせる独自の校舎展開
京進が創業時より掲げている教育理念「国際社会で活躍できる人材を育成する」という点で地域の労働力や活性化に寄与するという考えに基づき、知名度向上や効率的な集客が見込める大都市に留まらず、 中堅都市へも展開し、現在では9校(東京4、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫)開校している。

様々な地域に校舎を展開することで、留学生にとっては学ぶ場所や生活環境の選択肢が増える。

例えば、留学生の入国ビザを得やすい地域の校舎を選ぶことができること、出身地域が多様化する中で、小規模で家庭的な学校、同国人がいない学校で学びたいといった、留学生の希望に応じた校舎を選べることは、 初めて日本での生活を開始する留学生の安心感につながる。

また、地方に複数校を展開してきたことで地域の事情や状況に熟知できており、都市部を中心に展開する他社にはない強みとなっている。加えて、学校を増やすことで得られるスケールメリットは、 従業員にとっても有効である。後述するように、M&Aでグループに入った学校へ共通する制度を適用することで職場環境を整えている。安定した経営であることは、各従業員が安心して自身の勤めを果たせることに繋がっている。

事業拡大では、京進グループの方針やM&A先の事情など、事業部の考えだけで進められない中で、日本語教育事業に対する理念を失わずに、創発により自社の強みを磨くという取り組みを継続して、特色ある事業形態をつくり あげていることは、日本語教育事業の在り方として意義あるものと言える。

●従業員のエンゲージメントを高めるための環境・制度整備と各校内での取り組み
各従業員が安心して力を発揮でき、それが組織全体の能力につながり、さらには顧客への高いサービス提供につながるとの観点で「組織エンゲージメントの深化」として、職場環境の改善に取り組んでいる。 例えば日本語教育事業部が主体となって、M&Aで傘下に収めた校舎については各校の特徴を尊重しつつも、労務管理体制の整備、能力要件の整備、階層別教育の体系化などにより、異なっていた仕組や制度を整えることで 日本語教育事業部内の各校ではどこでも従業員が安心して働けるという改善を継続的に行っている。また同じ役職者同士が校を超えて学ぶ階層別研修や従業員からの希望申告での「他校体験」の取り組みなどといった 、多校展開を活かした能力向上の取り組みも進めている。

さらにM&Aによりバックグラウンドの異なっている組織に一体感と連携をもたらすために、「日本一働きたい職場」を目指すという考えの下で、顧客価値経営を重視し、校舎単位で月次の活動計画の振り返りと 全社・事業の数字のブレイクダウンを行い様々な形で改善を進め、例えば業務の重複の解消として、学生募集の機能を「留学募集センター」として集約するなどの各校の負担低減を図っている。

各校においても週1回の教務・事務の会議を行いうことで職場の改善を進めている。各校の活動は校長に委ねられているが、教務職や事務職からの意見を受け止め、必要なら校長自ら対応するなど、 柔軟な運営がされている。また各校では、3か月に1度、学期ごとの会議が行われ、目指す姿や方針・教務情報の共有を行うと共に、従業員同士の知見の共有を通して学び合う機会も作られている。 さらに日常的にも、教務室や朝礼などで随時情報や知見の共有が行われて、風通しがよく安心して働ける職場づくりが進められている。

当組織は、流動性や個別意識が高いとみられる日本語教育業界にとっては先進性ある取組みをしていると言える。

●語学教育にとどまらず人を育てることを重視した上での各種の価値提供の取り組み
「日本一通いたい日本語学校」にすることで「日本を理解した外国人人材を日本一たくさん輩出する」というありたい姿の実現に向けて、単なる語学習得に留まらず、希望する進路(人生)実現や 人間的な成長を醸成する教育が行われている。この考えの上に京進グループや多エリア多校舎展開を活かした価値提供が以下のようになされている。

例えば語学力を向上させることにも注力しつつも、日本語を教えるだけでなく、日本語を使って自己を表現していく場や機会の提供や、礼儀や挨拶など日本での社会性を育む指導が日常的になされている。

そこには全校舎が一斉に参加する合同イベント(KLAスピーチ大会)や学習塾部門で培った京進独自の学習メソッド(リーチング)を用いた学習指導といった、独自の取り組みが多数行われている。 そして、各校での教員や事務スタッフが日常的に学生の声や行動からの洞察を通してニーズを把握し、日々の接点で対応(サービス)を高めている。

1~2年という短期間の在学を通して多感な時期を日本で過ごす若い留学生にとって、このような取り組みは、顧客(学生)満足度や卒業生からの声からみても高評価であり、顧客体験(CX)となり、 満足度に繋がっているとみられる。

学校生活全体での経験が留学生にとって価値を生むという点で、他者には容易にまねできない仕組みであり差別化要因となっていると言える。

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