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関西経営品質賞について

2017年度 関西経営品質賞 ブロンズ

三和建設 株式会社

設立 1947年
代表者 代表取締役社長 森本 尚孝 (もりもと ひさのり)
本社所在地 大阪府大阪市淀川区木川西2-2-5
売上高 10,419百万円(2017年9月)
従業員 127名(非正規社員含む)(2017年9月)
事業内容 総合建設業
ホームページ https://www.sgc-web.co.jp
  • ・ポジショニングを明確にしたブランド戦略
  • ・働きやすい環境づくりへの取り組み
  • ・理念の実現に向けた教育体制づくり

 三和建設 株式会社は、1947年、戦後の復興が進む大阪市に三和木材工業 株式会社として創立。 戦災を受けた工場鉄骨を再利用することで、戦後の鋼材不足による入手難の解決と低価格化を実現し、 事務所や工場などの復興工事に役立てていった。1954年に三和建設 株式会社に社名変更し、総合建設業として活動を開始。 1956年に日本初の軽量鉄骨工場を施工。その後、軽量鉄骨は全国でブームとなり、この実績を活かしていった。 1959年、同社が手掛けた寿屋(現サントリー)・山崎蒸溜所の製麦工場新築工事が「昭和34年度 日本建築学会賞」を受賞。 1987年に全天候型現場仮設屋根「ハレルヤボーイ」を考案し特許取得など、企業の生産・物流施設、マンション、 商業施設などの建設工事や官公庁の土木工事など多くを手掛け、数々の実績を残す。

 2008年、現社長が4代目に就任。全てはひとがつくるから“「つくるひと」をつくる企業”であり続ける「ひと本位主義」が永続的な企業を作ると考え、 経営理念「つくるひとをつくる®」を制定。100年企業を目指している(2017年に創立70周年)。

 また、ソリューションブランドとして、高品質な食品工場の設計施工を行う「FACTAS(ファクタス)®」、 専用機能倉庫(危険物倉庫、冷蔵倉庫、自動倉庫など)の設計施工を行う「リソウコ」、 長期にわたって価値を維持できるマンションの建設を行う「SI(エスアイ)®」を立ち上げ、 3大ソリューションのナンバーワンカンパニーとなる事を目指している。 自社企画ブランド「エスアイ200」が、国土交通省の平成21年度・平成22年度「長期優良住宅先導的モデル事業」として2年連続採択を受けるなど、 評価に繋がっている。

 約70年に亘り大手名門企業を始めとした多くの顧客へ“企業が使う建築物”の設計および施工を請負い提供して来た。 これらの活動で培われた施工品質や品質保証(補修・修繕)は、顧客からの信頼・信用に繋がり、 継続的に既存顧客からの案件や紹介案件に繋がっている。

●3大ソリューションのブランド戦略への取り組み
 特徴あるゼネコンに向けて「何でも建てられるゼネコン=何の特徴もないゼネコン」からの脱却を図るため、 ポジショニングを明確にしたブランド戦略、「FACTAS (ファクタス)®」「リソウコ」「SI (エスアイ)®」を打ち出した。 ブランドごとにブランドマネージャーを配置したマトリクス型組織を形成し市場への認知度向上を行っている。

 ファクタスブランドの展開では、食品工場関連の展示会への出店や無料セミナーの定期開催を通じて、 食品企業にとって有益な情報を建築分野に関わらず提供している。これらのコミュニケーションを行うことで、 新たな顧客探索や顧客ニーズの把握につながり、業界内のブランド力強化にもつながっている。また、永年培った技術ノウハウなどを「FACTAS-TEC」にまとめ社員間で共有することで、 新たな提案や設計の改善に役立ち提供価値を高める事に繋がっている。

 さらに、建築物の「適法化」に向けた取り組みにとして、自らが違法建築に関与しないことはもとより、 顧客の既存建築物に対して、法改正などを受けて「既存不適格」でないかを確認し、 建築物の違法状態や既存不適格状態の解消に向けて積極的にサポートしている。 違法建築は建物の安全性や食の安全性を脅かす事になり社会問題にもなりかねない。 自社の事業を進める事は戦略的な社会的責任の一環(CSV:Creating Shared Value)となり、 確固たるブランド確立に向けての活動と言える。
●「CORPORATE STANDARD」などを活用した組織能力の向上
 「CORPORATE STANDARD」は、経営理念である「つくるひとをつくる®」の解説、基本方針、個別方針、期間重点目標、 行動指針など、社内標準や上位概念をまとめた冊子であり、全社員に配布し共有している。 社員は常に携帯し、個々人で判断する場面で活用することで機動的な対応を可能としている。 また、全社員参加で行われる朝礼で「CORPORATE STANDARD」の項目の唱和と項目に関わるエピソードを紹介することで、 社員同士の価値観の共有や理念浸透に役立てている。

 「CORPORATE STANDARD」は、社員個々での理念浸透を始めとした共有ツールであるが、組織としての共有ツールとして、 社内日報管理システム「SODA(ソーダ)」の活用がある。「SODA」は、日々の業務進捗、個人的な課題・疑問、顧客の声などあらゆることを全社に発信できる。発信内容について、 励ましの声やアドバイスなどを貰い課題についての理解を深めるなど情報収集する場としても活用できる。 「CORPORATE STANDARD」と「SODA」の両輪で組織能力を高めている。
●人材確保と定着に向けた組織風土の醸成
 これからの日本は、高齢化・人口減などによる人手不足が深刻化してくると言われているが、 建設業界でも社員の確保はより難しくなって来ている。そんな逆境の中、社員が組織と成長感を共有できるように毎年徐々に社員数を増大させる計画としており、 現社員がモチベーション向上しやすい環境づくりや、新卒採用拡大に積極的に取り組んでいる。

 社員のモチベーション向上には、理念「つくるひとをつくる®」や価値観の浸透はもとより、風通しの良い組織風土も重要なテーマである。 取り組みとして、経営幹部が毎月1回工事現場巡回を行うことで、社員が直接経営幹部に意見が言える環境を作っている。 日常的には、「SODA」の活用で役職の上下間に関係なく社員からの意見や提案が出せる状態にしている。 こういった活動が、3年間で正社員離職率が5%と業界では非常に低い結果に繋がっている。

 また、新卒採用者については、内定者研修などの場を通じ、入社前の早い段階から社員との関わりを持つことで帰属意識の醸成や 入社後のイメージギャップが生じにくくなり、離職防止策として効果を生んでいる。
●「つくるひとをつくる®」の実現に向けた教育体制の構築
 「つくるひとをつくる®」を経営理念とし、「ひと本位主義」を標榜する同社において、 組織の能力向上に欠かせないのが社員個人の能力向上である。仕組みとして、社員は業績評価・能力評価と合わせて上位資格昇格に向けての取り組みなどを記載した 「レビューシート」を作成し、毎月または、四半期毎に進捗状況についての個別レビューや上司との面談により指導を行っている。

 また、工事グループ所属の入社5年目までの社員には、習得すべき業務である工程管理、安全衛生管理、原価管理、品質管理の4 大管理を100 項目に分類した 「キャンパスシート」を用い技術指導を行っている。

さらに、社内大学制度として「SANWAアカデミー」を154講座(外部受講含む)開講し、専門力と統合力(人間力) を強化するための教育体制を整備している。講師は社員が務めることや教材の自主製作など社員の自主性を促すと共にモチベーション向上にもつながっている。

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