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関西経営品質賞について

2016年度 関西経営品質賞 シルバー

株式会社 王宮 道頓堀ホテル

設立 1970年
代表者 代表取締役 橋本 正権(はしもと せいけん)
本社所在地 大阪府大阪市中央区道頓堀2-3-25
売上高 848百万円(2016年3月)
従業員 85名(非正規社員含む)(2016年9月)
事業内容 ビジネスホテル、ホテル宴会
ホームページ http://dotonbori-h.co.jp
  • ・「おもてなし」で海外と日本の「架け橋」を目指す宿泊サービス
  • ・笑いと感動で心と心をつなぐ宴会サービス
  • ・従業員が活き活きと働く組織風土

 株式会社 王宮 道頓堀ホテルは、1970年に現社長の祖父が宿泊・婚礼・レストラン(宴会含む) の3部門で創業。76年に現社長の父が2代目社長(現会長)に就任後、実直な経営の徹底と高度経済成長の 恩恵も受け78年に初の黒字に転換。91年には婚礼事業を廃止、婚礼スペースを客室へと 改装し、当初の60室から123室(現在は一部ツインルームへの改装を行い116室)へと拡張した。 また、レストラン部門もランチ、ディナーを廃止、宴会に特化したサービスへ変更した。 こうして、現在の宿泊とホテル宴会の事業編成が出来上がった。

 96年に現社長が入社。当時は稼働率が高く非常に多忙を極めたため、制定した経営理念が組織内に 十分浸透せず、目の前のお客様の対応に精いっぱいの状況であった。06年に現社長が専務に就任した頃から 「社員のやりがい」が素晴らしいサービスの提供に不可欠であると考えるようになり、 自社の価値観や理念、コンセプトなどについて社員と語り合うことを始めた。

 さらに、07年に常務(現専務)が中国から帰国し経営に参加。他社との差別化を図るため、 08年にホテル宴会部門は「完全予約制の中華宴会」に特化し「笑いあり涙ありのホテル宴会」を キャッチコピーに「よりよい人間関係」のお手伝い、09年に宿泊部門は宿泊がメインの日本人ビジネスマンから 「東アジア(香港、台湾、中国、韓国など)の20代の外国人個人旅行者」にターゲットを絞り、 日本文化に触れたい外国人旅行客への対応と、大胆なビジネスモデルの転換を行った。 12年に現社長が3代目に就任、常務は専務となった。

 13年に経営品質向上活動と出会い、自社の活動の振り返りと改善活動を行ってきた。16年より月1回、 社長を含めた経営幹部7名による「経営品質会議」を開始し、本格的な活動がスタートした。 更なる差別化のために「おもてなしホテル」「おもてなし宴会」という、 これまでにない独創的なジャンルを創生しようとする意欲的な挑戦を行っている。

●訪日観光客のニーズにあった「おもてなし」の実現
 国籍の異なる従業員が働く現場であるが、目指す姿である「おもてなしホテル」の実現のために、 各自が持つ多言語対応スキルによる顧客接点でのきめ細かなニーズ把握を行う。また、各自のアイデア で外国人旅行客が“あったらいいな”と思うサービスを具現化していくことや、日本の文化に触れたい という旅行者が持つニーズに着目することでお客様へのきめ細かな対応を実現している。

 具体的には、手数料なしでの30ヵ国以上の外貨両替、無料国際電話の設置、 東アジアの7ヵ国語で作成された手作りガイドブックなどやロビーで毎週定期的に開催される 日本文化体験(着付け体験、餅つき体験、寿司の握り体験など)、東アジアの夜食文化に着目した22時30分過ぎから始まる 「ラーメンの無料提供」など、主なターゲットである「東アジアからの訪日観光客」の中で十分なステータスを得ており、 年間稼働率95%の高い稼働率にもはっきりと表れている。

 さらに、自社の高いコミュニケーション能力を活かし、海外の旅行会社との緊密な関係を形成し、 継続的に訪日客を取り込むことが出来る仕組みを構築した。このことは、高い稼働率の大きな要因とな っているだけでなく、ダイレクトに海外の旅行代理店とやり取りをするため、経営基盤の強化にも寄与している。 こうしたお客様視点の「おもてなし」や海外の旅行会社との連携は、宿泊者や海外の旅行会社から高い評価を受け、 宿泊者のSNS(Social Networking Service)を通しての拡散や海外の旅行会社の広告宣伝により、 「おもてなしホテル」という認知度やブランドが高まり新たな顧客創出に結びついている。
●「よりよい人間関係づくり」に向けた宴会
 「おもてなし宴会」という独自のコンセプトと併せて、シティホテルや居酒屋などが狙うターゲットとは異なる 「中価格、中規模」を狙うことで、競争優位性を確保している。宴会を盛り上げる「7大サービス(「お笑いパック」 「感動DVD無料作成」「中華宴会(4,500円から)」「3時間飲み放題(70種類)」「全室個室(4~200名まで)」「備品無料貸出」 「人数変更3時間前まで可」)」で独自性を確保すると共に、宴会プランナーがお客様のご要望を徹底的に把握しプランニングすることで、 笑いと涙の共通体験を起こし、出席者の心と心がグッと近づくための演出を目指している。

 また、「完全予約制の中華宴会」に特化することで、食材の廃棄ロス削減や鮮度を保つことができ、中華料理の専門性も高 まることで、少人数でのオペレーションが可能となった。料理のアクセントとなる野菜は契約農家から仕入れるなど食材に 拘り、化学調味料を一切使わない中華料理へ挑戦するなど、安全でおいしい「愛に溢れた」料理の提供を目指している。

 さらに、現場は、お客様同士が一緒に美味しい料理を召し上がり、笑いと感動を共に体験し親睦を深め幸せの和を共に繋げる 現場づくりを目指している。こうした、厨房、現場、宴会プランナーの三位一体のチャレンジが「よりよい人間関係」の構築に結びつき、多くのお客様 からの高いリピート率につながっている。
●理念経営をベースにした組織風土の醸成
 創業期・成長期における様々な危機を乗り越えてきた経験から、会社として「経営理念」「経営ビジョン」 「行動信念」がしっかりと定められており、それを実践し実現していくことを組織としての拠り所にしている。 そして、それを社員だけでなく関係者全員にしっかりと浸透させるために、社長・専務が繰り返し語り掛けることから始め、 「13徳目朝礼」や「理念と経営勉強会」などの実践により、従業員一人ひとりにまで確実に価値観を浸透させている。

 また、確実な「おもてなし」の実践につながるように、採用システムを充実させ、働き易い環境を整えるために、家族も 含めた医療費の補助や「産休・育休」制度の検討など、様々な福利厚生・モチベーション向上への仕組みも充実させている。 さらに、ビジネスパートナーを含めた3SK(整理:SEIRI・整頓:SEITON・清掃:SEISOU・危機管理:KIKIKANRI)活動による、 備品購入に関する合理化を図るなど組織能力向上への取り組みも行われている。

 これらの活動の結果として、国籍の異なる従業員が働く職場でありながらも、従業員一人ひとりが皆「風通しの良い風土」を実感しており、 活き活きと働いている。

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