• ・自ら考え行動し、人に感謝・感動する人間を育てる組織風土
• ・入居者の身体機能向上や家族との繋がりを大切にした介護サービス
• ・ITを駆使した医療・介護の包括サービス実現への取り組み

株式会社 スーパー・コート介護事業本部は、2000年に東住吉1号館を開設して以来、 京阪神エリアに高齢者介護サービス事業（有料老人ホームなど48事業所）を展開している。 開始当初は、介護市場の成長に伴い順調に推移してきたが、10施設を超える頃から、 競争が激化していき経営改善も進まない状況が続いた。そこで、「地域の方からスーパー・コート があるから安心して老後が送れる」との使命のもと、リーズナブルな価格で高品質なサービスを実現するため、 経営品質向上活動を開始し推進力としている。 さらに、2013年度に策定した中長期経営ビジョンでは、１０年後に「地域住民に対する医療・介護の包括的 サービスを提供する」ことを目指しており、ITを活用し病院・薬局・介護サービスなど医療関係機関でお客様 情報の連携を行い、これまで培ってきたノウハウと融合させることで介護・医療サービスをトータルでかつ高 品質で提供し、地域住民が安心して過ごせる社会の実現を目指している。

●自律型感動人間の育成を通じた戦略展開と現場力向上

長期ビジョンや中期計画の策定から、進むべき方向を明確にし「経営品質会議」を中心に現場で発生している課題を共有し、徹底的に話し合いながら解決していくことでビジョンの実現に近づけている。これらの活動は、自ら考え行動するとともに、人に感謝・感動する人間である「自律型感動人間」が育つ組織風土づくりに繋がっている。その結果、全施設への経営方針の浸透から戦略展開へと繋がり、施設長を中心とした現場サイドに、高いレベルの責任感と使命感、実行力を生み出している。また「経営品質会議」、「ＩＳＯ品質会議」、「ＳＣ会議」、「課題解決プロジェクト」などの場で、戦略テーマ課題を多面的・定期的に話し合うことで、経営課題の改善・改革に向けた組織能力向上に結びついている。

●認知症対応や身体機能向上を中心に独自性の高い施設運営を展開

常に安全、清潔、イキイキした生活を提供する考えのもと、社会から要請が高い認知症ケアを中心に、独自の施設運営を行っている。高齢者トレーニングである「ＳＣ－fit」などによる身体機能向上や昭和の時代を再現した「認知症コーナー」により、精神状態を安定させ、認知症の症状を改善するなど、入居者がイキイキと生活できる環境づくりに努めている。また、毎月の目標設定と取り組み成果を手紙と写真で家族に報告する「希(のぞみ)」などを通じて、家族との繋がりを大切にしている。さらに、従業員のホスピタリティ向上を目指す接遇教育など、様々な角度から独自性の高い取り組みが行われている。これらの活動は、認知症ケア学会にて産学共同の研究発表（2013年に石崎賞受賞）、ジョブコンダクター資格保有者障害者雇用体制の構築（2014年ハートフル企業チャレンジ応援賞受賞）など、高い評価を受けている。

●情報システムを活用した業務効率化と医療・介護包括的サービスの基盤づくり

施設運営の効率化と、将来の医療・介護の包括的サービスの基盤構築のため、ＩＴを活用した顧客記録システムの電子化に成功している。このシステムの導入に際しては、業界で前例がないという困難な状況のなか、管轄行政とのやり取りを重ね慎重に行なわれた。導入当初、タブレット端末操作に不慣れな現場職員に対し、全社を挙げてＩＴツールに関するきめ細かい教育訓練が実施された。その結果、全施設でタブレット端末を利用した顧客データの情報管理が可能となり、入居者の情報共有がスムーズに行われ、職員の業務効率化に繋がった。この活動の実績をベースに、「介護記録システムと薬歴情報の連動に伴う業務効率化」のテーマが、2015年「新連携事業計画」（近畿経済産業局）の認定を受けるなど、地域ネットワークの信頼と期待を集めた取り組みに発展している。