• ・現場の知恵や経験を取り入れた経営革新活動の実践
• ・神戸ポートピアホテルの「おもてなし」を追求する組織風土と全部門連携
• ・神戸全体の経済活性化に向けたメディカルコンベンションの誘致

株式会社神戸ポートピアホテルは、1970年代、当時200室規模のホテルしかなかった神戸に、「国際都市にふさわしい本格的な500室規模のシティホテルが必要」と考えた創業者の構想をもとに、神戸市、兵庫県、地元財界の協力により1981年に開業した。 開業年には「ポートピア博覧会」が開催され、1982年には神戸市が「コンベンション都市」を宣言、「風見鶏ブーム」などにより順調に発展を続けたが、バブル経済の崩壊や1995年に起きた阪神・淡路大震災の影響により、観光・ビジネスの需要が落ち込むなか、神戸全体を考えた集客要素として「コンベンション」に狙いを定め、1997年に国際会議場「ポートピアホール」（1702名収容）を整備。 2008年から経営品質向上プログラムを活用した経営革新活動を開始。将来ビジョンを検討するなかで「コンベンション」が中心事業であることを再認識し、長期ビジョンとして「私たちは、ホスピタリティとメディカルコンベンションでのアジアのリーディングホテルを目指します」を掲げ、経営革新活動を展開している。

●現場の意見を取り入れて進めるミドルアップトップダウン経営

社長のリーダーシップのもと、様々な部門のミドル層が集まり、現場（ボトム層）の意見を踏まえて経営革新を進めるミドルアップトップダウン経営の考え方により、多くの社員がＦＳ会議（フラッグシップ会議）や、すごい会議Jr.チーム、プロジェクトチーム活動などに参画し、全社的な視点を養うとともに、様々な目標・課題に対して知恵を出し合い、決めた施策を一丸となって推進している。特に、大型コンベンション等の運営における部門を越えた連携・協力による施策が効果を生み出し、多くの従業員において、ビジョン・戦略の具体的な進捗と成果が実感できている。

●全部門の連携・協力による神戸ポートピアホテルの「おもてなし」

お客様のことをよく知り、理解することがきめ細やかな「おもてなし」の原点と考え、社員の能力向上や情報共有に力を注いでいる。大規模コンベンションの運営にあたっては、参加者の誘導やクロークサービスなど集中的にマンパワーを必要とする時があり、全部門で助け合いが行えるように「ラテラルサービス」の考え方のもと、クロストレーニング（他部門での実地研修）を行いホテルパーソンとして専門的な知識・技能を必要とするセカンドキャリアの形成を促進するとともに、サポート職種登録制度を運用している。また、食事でのアレルギー対応や、介助を必要とされるお客様が来られた際には、「緊急レポート」により全部門で情報共有し、宿泊・宴会・レストランなどの各部門がスムーズに適切なサービスが行えるようにしている。このように、お客様にとってよりよいサービスが提供できるように、全部門の連携・協力による「個に対するおもてなし」を追求している。

●ポテンシャルを最大化する「メディカルコンベンション」の誘致・運営体制の充実

神戸産業医療都市構想によって、隣接地（ポートアイランド第２期）で医療関係の研究機関・企業の集積が進むなか、医学系学会の大型化・複雑化に的確に対応するために国内ホテルでは他に例のない「コンベンション部」を設置、人材育成・ノウハウ・ネットワークを蓄積するとともに、神戸市や神戸国際観光コンベンション協会、周辺施設と連携し、オール神戸でのコンベンション誘致を推進している。また、大型コンベンション参加者の満足度向上を目的とした全部門横断的な「学会プロジェクトチーム」を組成し、学会参加者用パンフレットの作成や特別サービスの提供、「おもてなしアプリ」などを企画・提供し、主催者及び参加者より高く評価されている。これらの独自の取組みの結果、日本医学会分科会（122学会）のホテル開催件数ランキングで、2014年度、2015年度（判明分）で全国１位となっている。