• ・リーズナブルな価格と快適さを両立した有料老人ホーム
• ・認知症対応の中で“最後まで人としての尊厳を保った生活”を実現
• 福祉現場において良好な職場環境の追求

株式会社シティー・エステート介護事業本部は、高齢者介護事業の分野において、有料老人ホーム「スーパーコート」を運営している。京阪神エリアに特化した形で、現状29施設を運営している。『地域の方々から「スーパーコート」があるから安心して老後が送れる』との考え方のもと、年間数施設を増設し、顧客満足度で関西No.1を目指すとしている。顧客への提供価値としては、年金の範囲での入居が可能とするリーズナブルな価格設定の上で、認知症対応を基軸とし、たとえ認知症であっても最後までいきいきと暮らせることを重視した施設運営やサービスのあり方を追求している。また自社の価値を実現するためには、社員一人一人の自主的で自発的な活動が重要だとの認識に基づき、あるべき社員像を「自律型感動人間」と定め、さまざまな人材活性策を展開すると同時に、経営品質向上活動を組織マネジメントの基幹システムと定め、組織的能力の向上に努めている。

●顧客本位
入居者、家族ともに納得できるサービスを提供

入居者を顧客と捉え、親しみのある中にも節度ある顧客対応を実現している。家族への確認事項シートなどを用いて、家族のニーズや意向を確認し、入居者と家族の納得性を得た上でサービスを行っている。またクレームに関しては、対応指針が定められており現場での迅速な対応と情報の共有化が密接に行われている。対応状況等については全社会議で対応の善し悪しを検討するなどクレーム対応の水準を常に引き上げる活動ができている。顧客満足度など顧客目線で良いと評価されている活動を全施設に水平展開し顧客満足を引き上げる活動が行われている。

●独自能力
認知症対応への積極的な取り組み

従来の低価格型有料老人ホームとしてのスタンスの上に、認知症対応を主体としたサービスへ発展的に移行し、さらに最近では「認知症であっても最後までイキイキと暮らす」ことを提供価値の主体としている。そのため認知症を主とした施設と認知症専門のフロアを設けているほか、大学や病院などとの共同研究を行うなどの活動を行っている。また施設建設当初から、地主であるオーナーとは価値共有を重視し事業を始めるようにしており、これまでの認知症対応の中で見つけた施設建設のあり方をモデル化し新規設備の中で積極的に実現している。

●社員重視
現場中心の柔軟な組織づくり

入居者一人ひとりで個別的に異なる対応が必要な各施設では、施設長、主任を中心に現場での自立的な取り組みが実現され、具体的な改善が行われている。コンピテンシー研修では「よくできるヘルパーの行動特性」を受講者全員でまとめ、習慣化への取り組みが行われている。また入社3ヶ月後の離職率が高いことからエルダー制度を導入し、離職率低減への取り組みを行っている。これらは各施設が日々の対応の中で生み出した知恵を生きた形で循環させ、組織全体での標準化と個別最適的な対応の両立を実現させ、組織自体の柔軟性を保つことに効果がある。

●社会との調和
公益企業としてのスタンスの明確化

営利企業としての利益追求の側面と社会福祉という立場や公共的価値との両立が必要とされる公益企業としてのスタンスを確立している。営利企業としての効率性追求は、これまで標準化されることが少なかった福祉現場の業務改善を促し、結果として社員個々に社会との関係性に目を向ける余剰時間を生み出した。この結果、認知症対応での問題意識を促進させ、大学や医療機関との共同研究への取り組みを生み出すことにつながり、企業としての価値追求が「たとえ認知症であっても最後まで人としての尊厳を保つ生活を提供する」とする社会的価値との共生が可能であることを発見している。