2008年度 関西経営品質イノベーション賞
パナソニック株式会社 モータ社 産業モータビジネスユニット
設立 |
1933年(同年、松下電器製作所本店においてモータ事業がスタート) |
代表者 |
楢崎 和成(ビジネスユニット長) |
本社所在地 |
大阪府大東市諸福7丁目1-1 |
売上高 |
277億円(2008年3月期 グローバル連結) |
従業員 |
1,565名(2008年9月末日現在) |
事業内容 |
産業用ACサーボモータ/アンプの製造・販売 中国マーケットシェア31%(業界1位) |
ホームページ |
http://www.panasonic.co.jp/motor |
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- ・中国現地スタッフも巻き込んだ「衆知を集めた全員経営」
- ・愚直に変化し続けようとする姿勢
- ・個人の個性を伸ばし活用するリーダーシップ
- ・信頼関係に基づく経営効率の追求
パナソニック(株)におけるモータ事業は、1933年の三相誘導電動機(モータ)開発スタート、翌年の生産開始に遡ることができる。産業用モータ分野では、工業用ミシンに使用されるクラッチモータ(1950年)、深井戸用水中モータ(1955年)などがその始まりであり、最近まで、多様なACサーボモータ/アンプを中心として産業用の駆動デバイス商品群を次々に展開していった。
しかし、2001年以降の市況の悪化に伴い「雇用構造改革」「事業構造改革」「生産拠点の再編」等による抜本的構造改革を実施、事業においては不採算商品から撤退し標準品を軸としたACサーボモータ/アンプに集中特化することを決断した。また、大東市にあった主力生産拠点を中国・珠海の珠海松下馬達有限公司へ2003年に移管、大東拠点をヘッドクォータとして、日本・松阪と中国・珠海の2生産拠点体制とした。
現在、同BUでは、「お客様の商品価値を高める産業分野モータ商品群の開発・製造を通じて、世界中のお客様に商品と満足を与え続ける企業を目指す」との事業ビジョンの下、独自の「3軸マーケティング」(業界・地域・協働軸)によって顧客ニーズや市場動向を明確化し、その上でより高度なネットワーク機能などを付加したハイエンド型商品群と、従来は存在しなかった台湾メーカーなどの新興メーカーとの対抗を意識したローエンド型商品群の2つのプラットフォームに商品を層別して、成長戦略に取組んでいる。現在、同BUでは、「お客様の商品価値を高める産業分野モータ商品群の開発・製造を通じて、世界中のお客様に商品と満足を与え続ける企業を目指す」との事業ビジョンの下、独自の「3軸マーケティング」(業界・地域・協働軸)によって顧客ニーズや市場動向を明確化し、その上でより高度なネットワーク機能などを付加したハイエンド型商品群と、従来は存在しなかった台湾メーカーなどの新興メーカーとの対抗を意識したローエンド型商品群の2つのプラットフォームに商品を層別して、成長戦略に取組んでいる。
特に中国市場においては、トップシェアを維持するだけではなく、顧客との密着度をさらに高めることを目的として、中国・珠海を生産だけではなく中国市場に対するトータルソリューション機能を持つ拠点として位置づけようとしている。
大きな転換点にある同BUの状況認識の下で、次の4点から、同BUが「経営品質向上活動に積極的に取り組み、継続的なイノベーションを起こしている将来性豊かな組織」であると評価した。
- 1.中国現地スタッフも巻き込んだ「衆知を集めた全員経営」
- 全員経営を実現する上で、職制にとらわれず誰もが自由に発言できるフランクさと、課題の背後に潜む原因追及を行う上で重要な「なぜ」という疑問が出しやすい組織風土が、国内外の事業所を問わず存在している。組織の中で全員経営が常態として行われ、衆知を集めることに成功している。
例えば3軸マーケティングでは、業界軸によって現状取引のある企業と未開拓分野の企業を明確化して、個々の企業別に何ができて何ができていないかを徹底的に議論し具体的な攻め手を見出している。例えば3軸マーケティングでは、業界軸によって現状取引のある企業と未開拓分野の企業を明確化して、個々の企業別に何ができて何ができていないかを徹底的に議論し具体的な攻め手を見出している。
中国・珠海においては、5年後のあるべき姿の検討をいくつかのチームに分けて中国人スタッフも一緒になって検討し、発表会において最優秀チームを選び表彰するなど、現地の実情に応じた全員経営を実現している。
- 2.愚直に変わり続ける姿勢
- 中村改革の指針のとおりパナソニックグループの経営理念を不動点として、それ以外は全て変革の対象と認識し愚直に変わり続けようとしている。これは赤字脱却に費やした3年間の影響が大きい。標準品による標準生産、大東から中国・珠海への生産移管など、赤字体質を成長路線へ切り替えるために徹底して行った「変わり続ける」という構造改革の効果が現在でも継続し、組織の土壌に浸み込んだ結果である。
例えば、パナソニック㈱の関連では最も伝統ある代理店組織の一つであった松葉会についても、従来からの信頼関係に配慮した上でこれを一旦解散、顧客の要望に即応できるSE力を持ったビジネスパートナー組織への再編を断行した。
- 3.個人の個性を伸ばし活用するリーダーシップ
- マネージャーの育成にあたって、マネージャーとしての類型を設定し鋳型に押し込めるように育成するのではなく、個性を尊重したうえで必要な職務要件やスキルを伝達している。つまり組織の中に多様な個性を育てることで、組織の活力を維持することに成功している。
例えば、BU長の直轄プロジェクトについては、明確な目標項目を設定しているが、そのプロセスは担当者のやり方に任せることによって管理上のバランスが取られている。
- 4.信義則と経済合理性の両立
- 中国・珠海においては、他企業から見れば驚異的とも思える離職率3%という高い定着率を実現するなど、中国人スタッフとの間に信頼関係を築くことに成功している。これは中国人スタッフへの方針説明の実施や権限移譲、コンプライアンス教育の徹底などのほかに、現地の事情を勘案しつつ日本国内と同様の信頼関係を前提とした職場作りをしていこうとする姿勢が大きな影響を与えている。ともすれば罰則と統制による管理に終始しがちな一般的中国生産のあり方を超えて、同BUの特長となっている。
たとえば、大東に先駆けて、日本でも困難が伴うといわれるSAP(ERPパッケージ)の導入を現地スタッフ中心で実現するなど、短期的な財務上の成果としては見えにくいが大きな将来効果を生んでおり、これら信義と企業としての総合力向上を明確に意識したマネジメントが中国・珠海で行われている。
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