世界№.1のエアコン用コンプレッサーメーカーとして、ビジョン「サーマルソリューションによるキーデバイスの提供を通じて、グローバルのお客様に“感動（Delight）”と“信頼（Trust）”をお届けし続ける企業を目指す」の実現と成長に向けた活動を展開している。この事業ビジョンとその価値を徹底して共有する努力を続けた結果、販売、企画、技術という面のマーケティングプロセスを創造し、顧客密着型グローバル開生販体制を創り上げた。さらに、グローバルに展開する生産拠点で、独自の高い技術力を提供できる世界同一品質を生み出すプロセスも創造した。これによって顧客が望む需要変動に少ない在庫で柔軟に対応できるシステムを実現している。

こうしたことを実現する基盤として、事業部長を中心とする経営幹部が、現場訪問による社員との対話を重視し、顧客密着によるソリューションを自立的に行う経営風土を作り出している。さらに、需要変化や技術変化が激しい市場特性を深く理解し、競争力を高めるために戦略・策定のスピードを高め、それをいち早く実行するための革新を繰り返し実行している。この革新によって、参画者に配慮したプロセス、技術力向上に関する独自の仕組み、世界同一品質確保のための委員会、柔軟な生産調整の仕組みが生み出され、こうした様々な仕組みによって、社員の高いモチベーション、高い顧客満足度、シェア№.1に結びついている。

以下の点が今回の審査で高く評価された。

●経営トップが原動力となった現場重視の活動継続による｢お客様第一｣の風土実現

経営トップが、ビジョン・価値観実現へ向けた強い意志に基づき、現場重視の活動を率先垂範して継続することで、「お客様第一」の組織風土への革新を続けている。これによって、社員への顧客志向の徹底や、経営に関する社員意識の高揚、第一線社員と経営トップとの距離の短縮、自分で考える社員の増加、といった革新を実現している。

●ダントツの世界同一品質という価値実現

グローバルの生産拠点から、同一・高品質の製品提供を行い、品質・ものづくり・安定供給・デリバリーへの信頼を高めることが顧客価値を創造するとの認識のもと、匠の生産技術の組織的な蓄積･伝承、継続的なＴＰＭ活動への取り組みが実践されている。これらをベースにグローバルでの図面共有化、標準書委員会の運営、グローバル生産技術部門の設置などが行われ、品質に対する業界トップレベルの顧客満足・市場不良率の低下といった成果を獲得している。

●グローバルNo.1組織としての高い商品力の実現

グループ組織（空調研究所、モーター社、エアコン事業部）との日常業務における密接なコミュニケーションのもと、それらの保有する先端技術を活用した先進的な商品開発が具現化されている。これに加えて、顧客のエアコン開発段階から参画・支援する商品開発のトータルサポート、グローバルマーケティング力に基づく市場・顧客・エンドユーザーの声の商品企画への反映などによって、グローバルNo.1組織として高い商品力を維持している。

●グローバルでの顧客理解の仕組みと全体最適の生産調整能力

営業・開発・生産の各担当者が直接、顧客との面対応を行うことで、グローバルに展開する市場・顧客の声を適切に収集し、顧客理解・対応スピードを高める工夫が行われている。これらの情報は、組織内で「週報」として迅速・有効に共有化され、各社員の事業推進の効率化・顧客対応力の向上に活かされるとともに、生販会議などでの日々の生産調整や、半期に一度開催されるグローバル経営会議・戦略会議などにおける組織戦略の策定・修正に活用されるサイクルが確立している。

●「走りながら、考えながら、直しながら」改善を続ける組織風土

経営品質活動や日々の業務活動から得られた気づきを「走りながら、考えながら、直しながら」実践することを志向し、スピードを持った組織的な改善を継続している。これまでの活動の中では、戦略会議・早朝会議等の創設、総括制の導入などの組織変更、工法開発担当・タスクフォースの設置、3総括による第一線社員との対話などの改善が実現されている。この「走りながら、考えながら、直しながら」の改善を続けてきたことが、仕組みの構築や組織風土の革新を支える大きな要因となっている。

【特色】

・空調用コンプレッサー生産累計1億5,000万台
・生産規模・販売規模ともにグローバルトップ
・グローバルシェア32％
・業界トップの高効率（e-スクロール機種において）
・外販比率80％以上（2004年度台数ベース）