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会長挨拶

会長 大坪 清

コロナ禍からの再生と成長の年

公益財団法人 関西生産性本部
会長 大坪 清


 わが国経済は、コロナ禍によって分断された社会経済活動の正常化に向けて歩みを進める一方、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスクの顕在化による世界的なエネルギー、資源、食糧や素材の価格高騰、円安によるコスト上昇圧力の高まりなど、数多くの困難に直面している。

 加えて、国内では少子高齢化、人口減少、財政再建、社会保障改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)、ダイバーシティといった課題について早急な対応が求められると同時に、世界各地における自然災害の頻繁化、激甚化の中で、地球温暖化に歯止めをかけるべく、脱炭素社会に向けた動きにおいても決して後れを取る訳にはいかない。

 そして、急激な物価高騰に対し賃上げへの機運が高まる中で、長きにわたって続いたデフレマインドの払拭や、上昇したコストの取引価格への転嫁といった課題を産業構造全体で解決し、サプライチェーン全体に適正な分配が進むことも健全な社会経済の活性化に不可欠である。

 また、関西では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする2025年の大阪・関西万博の開催を大きなターゲットと位置づけ、国内外に関西の存在感を発揮し、社会課題の解決を図りながら、アフター万博の成長産業を育成する機運を高めていこうとしている。

 わが国が力強い持続的成長をし、国際競争に打ち勝っていくためには、生産性をさらに向上させ、絶えざるイノベーションで高い付加価値を生み出すことが重要である。そのためには、失敗やリスクを恐れずチャレンジができる組織風土を醸成していくとともに、これらの活動の主役となる“人づくり”が重要である。官民挙げて人への投資、人を活かす成長戦略が叫ばれているが、当本部は、あらゆる階層の生産性革新リーダーの育成により注力して取り組んでいく。

 当本部は、設立当初より「生産性とは、何よりも精神の状態であり、既存するものの進歩、不断の改善をめざす精神の状態である。それは、今日は昨日よりも、明日は今日よりもまさるという確信である。それはまた、条件の変化に経済生活を不断に適応させていくことであり、新しい技術と新しい方法を応用せんとする努力であり、人間の進歩に対する信念である」との生産性の精神を堅持しながら、活動を進めてきた。さらに一昨年には、新しいKPC活動ビジョン「関西における生産性運動を牽引し、新たな価値を共創する」を策定し、創立70周年にあたる2026年までの活動の基本的なスタンスとして位置づけ、更なる生産性運動推進への決意を確固たるものとした。

 この活動ビジョンのもと、2023年度の活動の柱は次の5本としたい。

 ウィズコロナ・アフターコロナ時代の関西のあらゆる組織の生産性向上による発展を目指して、

 ①環境変化に対応する継続的な経営革新活動に学び、組織の発展とそれを担う革新リーダーを育成します。

 ②これからの働き方、生き方、そして労使関係はどうあるべきかについて、労使の先進的な実践事例に学び、議論を深め、実践します。

 ③労働組合をめぐる環境変化、組合員の意識変化を踏まえて、これからの労働組合の果たすべき役割と活動のあり方を考え、次世代労組リーダーを育成します。

 ④新しい価値を創造するイノベーティブな生産性向上推進リーダーを育成します。

 ⑤当本部の活動基盤の充実と日本生産性本部をはじめとする各地の生産性本部、関連機関との緊密な連携で新時代の生産性運動を力強く展開していきます。


 当本部の2023年度は、“コロナ禍からの再生と成長の年”と位置づけ、スタートダッシュをはかりたい。

 我々のミッション(当本部の設立目的=存在意義)は、関西において労使学の三者が生産性運動を推進することで健全な労使関係の確立、内外の調和ある経済発展、そして個が活かされる豊かな社会の構築に寄与することにある。

 それに加えて、「雇用の維持・拡大、労使の協力と協議、成果の公正配分」からなる「生産性運動の三原則」を諸活動の根底に置きつつ、「世界に輝くKANSAI」の創造と、人々が生きがいと働きがいを持つことのできる豊かな社会の実現に寄与してまいりたい。

2023年4月

 
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